小学校体育連載④ 「なぜ泳げないのか?」
体育研究同志会 牧野 満
泳げない子どもの様子をつぶさに観察していると、
①息つぎができていない。
②浮力が確保できていない。
③息つぎと浮きがむすびついていない。
およそこれのどれかにあてはまると考えられます。
①については、水の中で鼻からぶくぶく息を吐くという指導のために起こる弊害です。
口→鼻というのは非日常の呼吸法で初心者にとっては難しいことです。
それに、息を水中で吐くということは、体から空気が逃げるので、
その分体が沈んでしまいます。
体を浮き袋にした状態を保ち、水面に顔を出したら「パッ」と一気に吐いて
一気に吸うことを教えます。
②浮力を確保するためには、水上に体を出さないことです。
しかし、水面に顔を出さないと息つぎができません。
それなら、水上に顔を出す部分をできるだけ少なくすることが大切です。
息つぎができない子どもを見ていると、胸ぐらいまで水面上に体を出して息つぎをしています。
すると、水上に体を出した分余計に沈み込みが大きくなります。
これが続くとどんどん沈んでいきます。
水面上に出た部分をなるだけ少なくするためには、
首を「にゅーっ」と出して息つぎをすることが大事です。
③これが一番の難関です。
しかし、ここをクリアできれば泳ぎはほぼ出来たも同然です。
伏し浮きで体が浮いてくるまで待って→背中に水面を感じてから→息つぎ。
この一連の動作を、「伏し浮き呼吸」(伏し浮きと言っても手足をピンとのばしたものでなく
クラゲ浮きに近い形)と私たちは呼んでいます。
4拍子のリズムをつけて行います。1回できたら2回と回数をどんどん増やしていきます。
<伏し浮き呼吸>
体が浮いてくるまで待って→首をニューっと上げて→息つぎ「パッ」→ボチャンと沈む
(この繰り返し)
「いち・にい」 「さぁーん」 「パッ」
息こらえでぽっかり浮くこと。「パッ」と一気に口から吐いて口で吸うことが、
泳げるための必要とされる技能だと考えます。
これらの水と体の原理をうまく利用した
指導法があります。それが、ドル平泳法です。
興味のある方は、ここを参考にしてください。
http://www6.plala.or.jp/manzo/dosikai-jdoruhira.htm