小学校体育実践連載② 「年間計画どうしてますか?」
学校体育研究同志会 牧野 満
今回は体育の年間計画に関するお話です。
転勤する度に疑問に思うのがその学校にある体育の年間指導計画です。
奈良県には副読本があって、それを参考に体育の教材をされている場合が多いのですが、
これで果たして子どもたちがうまくなるのだろうか?といつも不思議に思います。
教材が小間切れで、うまくならないうちに次の教材に移っていくような配列となっています。
例えば、ある学校の3年1学期の水泳までの体育館体育では、
体ほぐしのいろんな運動をして、それからバスケット型のゲームをする
というふうになっています。
3年生でバスケット型というのが何なのか(昔あったポートボールという教材のこと?)
よくわかりません。
体ほぐしの運動を入れているのは、スポーツテストをするからというのです。
しかし、考えてみればおかしなことで、スポーツテストのために体育をするのでしょうか?
どこかの教育委員会で全校統一学力テストのための予備テストを行い、
それが点数を上げるための姑息なやり方だと非難されていたのを思い出します。
それと同じことではないのでしょうか?
スポーツテストのための体育の授業なんて本末転倒だと思うのですが・・・。
子どもがわかったりうまくなったりするためには、教材にもよりますが、
10時間程度のまとまった学習が必要です。
学習する道筋がはっきりとした系統性のある大単元での学習を用意しなければなりません。
単元計画の際には、系統的な指導の段階と、
学習の成果を確かめる段階として、最後に発表会や記録会を開きます。
ボール運動なら学年での球技大会や水泳なら水泳大会を開くのもいいでしょう。
みんなでうまくなることを目指すという学習の目標を持たせます。
そして、学習を進めていきます。
よく「1つの同じ教材をやっていたら子どもが飽きるから」という声を聞きますが、
それは、用意する教材の中身が粗末だとは考えられないでしょうか。
それに、子どもの様子を見て教材を変えていくものでもないでしょう。
また、みんなでうまくなることに喜びを感じない体育や日替わりメニューのような体育を
低学年の時から受けていたら、子どもの興味も長続きしないでしょう。
まずは、副読本に惑わされず、自由な発想で単元計画をしてみたらどうでしょうか?