※ピンチはチャンスでもある すれちがいを出会いに変える
トラブルの解決のために、「私にまかせてください」と請け負ったり抱え込んだりするのではなく
「先生なんとかしてください」と保護者に白紙委任させてしまうのではなく
もちろん教師として解決のために最善をつくしながら、
同僚や子どもや保護者に対し、事実経過、とりくみ、到達点、課題などしかるべき情報公開を行い
「解決のために知恵と力を貸してほしい」と協力を要請し、
「みんなの問題」として解決のための力の結集をコーディネイトしてとりくむという
共同の力で解決にあたる集団づくり・授業づくり・学校づくりの教育実践が求められている。
【参考文献】
『子どもより親が怖い-カウンセラーが聞いた教師の本音-』諸富祥彦著 青春出版社
『父母とのすれちがいをどうするか-教師受難の時代を超える-』全国生活指導研究協議会編 高文研
『これは困った 保護者とのトラブル解決のヒント80事例』家本芳郎編著 ひまわり社
『悲鳴をあげる学校 親の“イチャモン”から“結びあい”へ』小野田正利著 旬報社
参加者は12名でした。今年新採用の先生も2名参加してくださいました。


大和郡山市立治道小学校の中川眞砂代先生(算数・数学の会)に
算数の指導についてお話いただきました。
九九カードでぼうずめくり
覗くとビルが立体に見える不思議な箱
謎の金属のなかまあてで密度を教えるゲーム・・・
つぎからつぎへと出てくる算数の教材、教具を使って
各学年の算数の単元の指導ポイントを教えていただきました。
ただ楽しいだけではなく、無意味な訓練でもなく、
算数的な経験から数や量の概念へとつなげる指導法を
短い時間のなかでたっぷりと披露してくださって、圧倒されてしまいました。
もっともっと学びたいなあと思わされた講座でした。
参加者の感想
●サークルにいっても楽しいのですが、レベルが高いので、むずかしいところもいっぱい。
今日は「もっともっと」という残念さはいっぱいありますが、楽しかったです。
世の中を構造化して、体系化していくことは興味深いことだといえます。
【講座への希望】ゆっくり時間をとって、中川先生の低学年のお話
●”わかる”って高学年にとって大事だなあと思いました。
教材ネタを探すために100円ショップをウロウロしようと思いました。
今年は久しぶりに2年を担任しています。
具体物からシェーマ化?まだまだ大切にしようと思いました。
いろんな教材おもしろかったです。ありがとうございました。
【講座への希望】やっぱり教材ネタがいいです。(見せてもらって)
●今日はありがとうございました。
算数の勉強をどうするかということよりも、算数の勉強をなぜするのかということの大切さをあらためて感じました。
驚きと発見、とても大切なことです。
●いろいろ面白い発見があって良かったです。
是非子どもたちにも面白い発見があるような楽しい授業を創っていきたいと思います。
本日はどうも有難うございました。
●今日は貴重なお話をありがとうございました。
なかなかお話が難しくて理解するのに時間がかかりそうです。
これからもっと勉強したいと思います。
【講座への希望】授業がみたいです。
●盛りだくさんで自分でももう少し時間をかけてかみくだいてみたいです。
”おどろき”いっぱいで大変楽しかったです。
【講座への希望】初任研で同期の者たちは、学級経営に苦しんでいるみたいです。
準備なしで即できるゲームを知りたいという声をよく聞きました。
私は今、社会、理科、学活で特に苦しんでいます。
※残念ながら参加できなかった方は、メールで連絡をいただけたら
教材資料をお届けします。ご連絡ください。
また、算数の授業についての質問や要望も受付ますので、お寄せください。
⑥ 子どもとの関係を改善して解決
・ この方法がもっとも効果的な解決法、予防法!
・ 保護者とトラブルを起こしても、その子どもと同一視してはならない
・ その子どもの対教師感情を好転させ、信頼を築くことが重要
・ いろいろ問題は多くても、その子のいい面を探し、評価し、子どもや保護者に伝える
・ ほめることがなければ、仕事を与え成功させて、ほめることを作り出す
⑤ まわりの教職員とともに解決
・ まず「愚痴、弱音が吐ける職員室」を 自己責任、学級王国という職場の意識を克服する
・ 「ひとりで悩まない、悩ませない」が原則
・ 融通がきかず、問題を一人で抱え込んでしまうのは解決を遠ざける
・ 弱音を吐き、早期に助けを求めること、一人ではなく教職員全体の共同で実践することが重要
・ 体罰、人権侵害、責任放棄などの指導には職場で適切に相互批判しあう
・ 一人の教師を学校全体でバックアップする体制づくりが絶対必要
・ 特別支援教育は「困った子ではなく、困っている子。その困っている子を担任して困っている先生や、困っている子を我が子にもって困っている保護者を支援する教育」ととらえ、体制づくりを進めることがカギ
・ 同じ学年の教師、管理職、各種主任、コーディネイター、ベテランの教師などの役割重要
・ 授業研究、指導法研究と共同実践のために職場で日常的にとりくむ
④ 子どもや他の保護者の力を引き出して解決
・ わが子かわいさのあまりまわりが見えなくなってしまっている場合
・ 他の保護者や地域から孤立し、見方考え方が偏ってしまっている場合
・ 一部の保護者が結託して極端な結論と行動に出る場合
→ 子ども本人やまわりの子どもたち、他の保護者たちはどう考えているのか示唆し、広い視野をもたせることがポイント
・ 学級懇談会などでは、教師対個々の保護者という構図にならないように、「(子どもの成長のために)私たちは~」という風に語ってもらうように申し合わせる
③毅然とした態度で解決
・ マナーに反する失礼なふるまいに対する対応には、
1、心情を受けとめる
2、内容を聴く
3、マナー違反を指摘する
という順序がある。順番を間違えるとトラブルとなる。
・ 理不尽なことを言ってくる保護者には、「正論」での説得は通用しない
・ 「説得しよう」という欲は捨て、まずは信頼関係づくりに徹する
・ 理不尽な要求、不見識な言動には
◎冷静に対応する
×感情的にならない
×あせらない
◎おだやかにたしなめる
・ 感情的でとりつくしまがない状態のとき、即答できない要求には、
「時間をください」と保留し、次回の話し合いを確約したうえで適当に切り上げる
・ 非は非として対応した方が好ましい結果をもたらすことが多い 尊敬され、軽んじられない
・ 要望を全面的に受け入れられなくても、部分的に取り入れることも考える
・ 断る場合も、機械的に断らず、心情をよく理解した上で断る 要望の裏側の願いが満たされるように
・ 学級懇談会は、なるべく保護者から求められるよりも先に、学校側から提案して開き、議題や話し合いの主導権を学校側がにぎって進める
・ 保護者との話し合いには、担任だけでなく、管理職や学年の同僚、各種主任などと一緒に臨み、きちんと記録をする
② きちんと向かい合って解決
・ すれちがいは、教師と保護者のコミュニケーションギャップによるものが大きい 敬遠せず向き合う!
・ 保護者の要求に対し
×言下にはねつけない
×その場しのぎの言い訳をしない
×多言を弄してくどくど言い訳しない
・ まずは保護者の話をよく聞くこと 正直に、真摯に、誠実に対応すること
「そうですね」と同意するのではなく、「そうですか」と受けつつ話を聴く
・ これだけで保護者の気分感情は安定してくる そうすれば解決の道は開ける
・ まずは事実の正確な把握と共通認識をていねいに行う
・ 保護者に向かって言いたいことは「あなたは~ですね」ではなく、「私は~と思いますよ」と私メッセージで伝える
・ 対策は目に見える形で具体的に示すこと
① 教師の姿勢を改めて解決
・ 「困った子は困っている子」そして「困った保護者も困っている保護者」
・ まず、教師の考え方を変えるだけで解決できることが多い
・ 「呼び出す」「文句を言われる」などという権力的な捉え方を改善することだけでずいぶん緩和される
・ 最初の些細なすれちがいが、まるで「ボタンのかけちがい」のようにいつまでも修復されず、ズレがだんだん大きくなっていくケースが多い
・ 「なにもそこまで」と思えることをしないとやっていけない状況
・ 保護者が学校や教師に対し、教育的な要求(注文や批判も)を行うのはあたりまえ
・ 立場の違う者どうしがある程度本音で向かい合えば、すれちがうのはある意味当然
・ 職業が教師でも、わが子の親の立場になってみればその気持ちはわかる部分もある
教師だって、授業参観ではわが子しか見ない 運動会でもわが子を必死で追いかける
・ 専門性ということは、職務のひとつ(給料のうち)ということ
・ 怒りは揺れる思いや不安がひとつの感情として表出されたもの とうけとめる
・ 不満は、かなり鬱積するまで黙っていたが、とうとう爆発というケースが多いから要求や注文が極端になりやすい
・ 悩みや不安を受け止め、共感的に話しを聴く姿勢が信頼関係の第一歩
・ 誤解や事実誤認があっても、まずは思いを聴く ×「しかしですね~」は禁句
・ 反論する前に、相手の要求は何か、背後にある願いは何かしっかり見極める
・ 話し合いは、子どもの成長のためのもの。要求ばかりでなく、共に解決策をさぐる姿勢
・ 保護者も子育てや仕事、生活に疲れ、孤立させられている 教師学校不信があっても「敵」ではない
・ わが子が傷つけられると子以上に傷つけられたように感じることもある 心をケアする必要も
・ 教師学校不信は、過去の苦い経験に根ざしていることが多い 批判は期待の裏返しととらえる
日本の経済社会構造の大きな変化の中で
・新自由主義経済政策のもとでリストラ、非正規労働者の急増、成果主義賃金制、就職難、ワーキングプアー、格差社会、晩婚・少子化
・子育て・教育に関する意識が大きく変化、多様化
・女性の社会進出と地位の拡大、離婚や連れ子再婚の増加などにより、家族、父親母親像に対する意識も大きく変化、多様化
・「男は公共領域、女は家内領域」という性別分業の崩壊
従来の家族、親モデルの消失と模索
・多忙な保護者(特に母親)には共同で子育てする環境が乏しい 分断され孤立させられている
・孤立無援感の中で、「自分は母親として失格では?」という強迫観念も
・メディアに無防備となり、「世間の評判」の中で、子育て競争させられている
・子どもとの情緒的つながりが精神的な支え、いきがいとなり、子どもと共依存関係になりがち
・一方、生活の大変さから余裕のなさや、母親役割だけの世界、子ども中心主義家庭から脱却しようとする女性の生き方は、ときに育児放棄とも思えるふるまいを見せることもある
・そんな孤独な母親たちにとって、不安をぶつける相手は学校、教師だけ というケースも多い
【克服への視点】
※「親ならこんなことは当たり前」「親として失格」など従来の家族観や母性観で、教師がこうした保護者と対応しようとし、「自己中心的で文句ばかりつけてくる」とばかりとらえていては、すれちがいは避けられない
・学校の「権威」、教師に対する信頼、協力意識は薄れ、相対的に見る見方、学校不信が広がる
・社会不安の中での子どもに関する事件、事故の多発と社会的注目の中で保護者の不安が増大
・教職員、公務員の不祥事の続出と学校、教師、公務員バッシングのひろがり
【克服への視点】
※「子ども市民」、教養の高い保護者、市民の誕生、広がりは、日本の民主主義の発展、成熟によるもの。それなのに、学校の教育活動に保護者が協力するのは当たり前という発想で「上」から保護者と対応していれば、すれちがいはますます根を深くするだけ。
※教師が保護者たちと共同しようとするならば、学校という「権力」の側に身をおいて向き合うのではなく、自らの直面している現実、困難、願いなどを率直に語りながら、一人の生活者として同じ弱者としてともに歩もうとすることで、保護者と共感的な対話を生み出していくことが必要なのではないか。
※学校が子どもや子育ての一定のモデルを保護者や家庭に押し付けられた時代は終わった。新しい、多様な保護者・家族像の模索・発見・創造・交流を学校教育の中でコーディネイトしながら、保護者たちの、子どもたちの共同の活動を共に創り上げていく時代になった。そういう方向性をもつ実践を進めていく上では、こうした保護者たちの変化は、新しい時代の学校の共同関係を築いていく可能性を広げるもので、むしろ歓迎すべきととらえることもできるのではないか。